Books&Appsライターのノウハウをマンツーマンで教わった話【Webライティングセミナーレポート】
先日、Books&Appsを運営するティネクト主催のWebライティングセミナーに参加した。
講師を務められたのはティネクト取締役の楢原さんだ。
「もうひとつ突き抜けたライティングスキルを身に着けたい」
「読んでいて心地の良い文章を書けるようになりたい」
「というかそもそもBooks&Appsが好きだし、信頼感もあるから話を聞ける機会があるのなら参加したい」
そんな想いから参加を決めた。
セミナーはオンラインで開催されたのだが、案内されたZoomにインしてみると、なんとまさかの楢原さんとわたしのマンツーマンレッスンだった。
セミナー参加募集ページには定員10名と書かれていたので、まさかこんな形だとは夢にも思っていなかった。
なんでも、過去にも数回開催されており、毎回4~5人くらいの参加となっているそうだが、今回はたまたま申し込んだのがわたしだけだったらしい。
(これは...ツイいてる...!そしてチャンスだ!)
開始早々そう確信したわたしは、今日のこの3時間を充実させる気持ちでいっぱいだった。
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これは、Books&Appsの2013年から2015年までのセッション数(アクセス数)を分析したグラフである。
今でこそ「ビジネスパーソンを励ますWebメディア」として有名なBooks&Appsだが、メディア立ち上げ当初は、そんなコンセプトはなく、本やアプリのレビューを投稿するサイトだったらしい。
結局人は自分に書けるものしか書けない。
そして書けるものとは、多くの場合、自分が関心のあることや好きなことだ。
それをまずは友人に拡散し、SNSでのフォロワーを増やしていく。
メディアの成長はそこから始まるのだ。
その後、Books&Appsは、FBで拡散されたり、外部メディアへの寄稿によってその名が広まったり、とある記事がバズったりなどを経て、今日に至る。
中でも面白いと感じたのが、立ち上げから1年以上経ってUIの変更をした際に、サイト内にランキングタブを設けたことだ。
Books&Appsにおけるランキングタブとは、「今週の人気」と「TOP100」だ。
わたしはいつもBooks&Appsを訪れた際に、必ずその2つのタブをクリックして、その中から面白そうな記事や多く読まれている記事を読んでいる。
そのタブはどんなサイトにも当たり前にあるものだと思っていたが、これによってメディアの成長に繋がるという視点は持っていなかったため、新しい発見だった。
同じ価値観の人からのセッションを超えた先にあるのは、他人からのセッションだ。
この段階まで来ると、アンチもやってくる。
だが、アンチからの声を気にしすぎるのではなく、そこまでも届いたことが重要なのである。
ここまで、Books&Appsがいかにメディアとして成長してきたかについて紹介してきた。
Books&Appsは、ティネクトが保有するオウンドメディアである。
オウンドメディアの目的は集客することだ。
重要なことなのでもう一度言う。
オウンドメディアの目的は"集客すること"だ。
つまり、ライターの役目とは人を連れてくることなのである。
人を連れてきた後に、それを顧客にするのは営業の仕事であり、ライターの仕事ではない。
この話を聞いて、ライターにとってなされるべきことがハッキリとわかった。
集客することによって、そこからファンをつくる活動ができるのがオウンドメディアだ。
それに、そもそもオウンドメディアはファンをつくる活動に他ならない。
だからまずは自分のフォロワーにウケるものを届けていきたい。
また、読者を連れてくるライターになりたいとも思う。
ちなみに、月間で10万~20万PVぐらいになると、集客として有効だそうだ。
ここまでで、オウンドメディアの目的とライターの役目がわかった。
では、その役目を果たし、目的を達成するためには何が大事なのだろうか?
オウンドメディアにおいて、多くの人を集めるためのポイントは次の3つだ。
①検索されやすい(検索ニーズが高い)
②SNSで拡散される(面白い)
③リピーターを生む(希少性)
検索されやすい記事とは、以下3つのいずれかを満たす記事である。
1.検索ニーズが高い
ex)AndroidとiOSのシェア比較、世界のデータと年間推移で分かること | 株式会社キャパ CAPA,Inc.
2.専門性が高い
ex)GeneXus × アジャイル開発で理想のアプリケーションを | 株式会社キャパ CAPA,Inc.
3.時流を得ている
ex)約4年ぶりにMacBook Proがリニューアル。でもそれ以外のMacBookシリーズも買い時が来てる | 株式会社キャパ CAPA,Inc.
SNSで拡散される記事とは、以下3つのいずれかを満たす記事である。
1.みんなが興味のある話題
ex)Googleの社員食堂に感じた、格差社会のリアル。 | Books&Apps
2.意外性がある
ex)部下が報連相しない理由は、上司に報告・連絡・相談するメリットがなにも無いから。 | Books&Apps
3.賛否両論ある
ex)「運動は体に良いと言ったな。あれは嘘だ。」 | Books&Apps
みんなが興味のある話題かどうかで読まれるか読まれないかの7~8割が決まってしまう。
書き手なりの視点があるかどうかで意外性の有無が決まる。
書き手の主観が含まれると賛否両論が生まれ、Twitterでウケやすい記事となる。
ただ、賛否両論が行き過ぎると炎上することもある。
だが、炎上を起こすのはそう簡単なことでもない。
炎上は、
1.みんなが「自分に関係する」と思う話題
2.誰かを見下す・バカにする、嘘をつく
3.一般常識を逸脱する
のすべての条件を満たさない限り発生しないのだ。
したがって、「自分のパートナーや子どもに言えないようなことは書くべきではない」と思っていればまず炎上することはないだろう。
リピーターを生む記事は、PV数を生むことよりもライターのファンになってもらうことを目指している。
ライターのファンになると、そのメディアを覚えてもらえる。
それに、ブックマークもしてもらえる。
例としては以下のような記事だろう。
ほとんどのネットサロンはお金を出して電子ゴミを買う場所。 | Books&Apps
高橋留美子先生のマンガ「1ポンドの福音」はホントに面白いからおすすめ。 | Books&Apps
日本一辛い麻婆豆腐を食べたら人生が光り輝いてみえるようになった話 | Books&Apps
オウンドメディアの閲覧者は、
・欠かさず見に来るファン
・とりあえずチェックしているフォロワー
・偶然来た新規ユーザー
に分けられる。
この閲覧者区分に応じて、上記3つのポイントを使い分けられるのが優れたオウンドメディアのライターなのではないだろうか。
ただし、プロのライターが記事を書き、プロの編集者が校正したところで、その記事がバズらないことは確実にわかるが、バズるかどうかはわからないのだ。
また、オウンドメディアで多くの人を集める3つのポイントを見るに、Webライターに求められているものは拡散力(フォロワー数)とオリジナリティの高い経験であり、文章力はあまり重要なことではないことがわかる。
自分に書けるものを書くからフォロワー数が増えるのであり、それがWebライターの原稿料に繋がる。
書きたいこととフォロワー(=世間)のブリッジとなるのがWebライターなのである。
つまり、バズるかどうかはわからないと書いたものの、人気記事にするには、
みんなが興味のあること×珍しいこと
の組み合わせでライティングすることは鉄則だ。
そして、もう1つ大事なのは、「どんな話題でも自分ごととして読ませる」ことが書き手の実力であることを知っておくことだ。
わたしは今までずっと、ターゲットとする人にいかに刺さる記事を書くかばかり考えていたが、この事実を知ってハッとした。
わたしが書き手として真の実力をつけるために飛躍すべきポイントはきっとここなのだ。
ここまで、オウンドメディアのライターが知っておくべきことについて紹介してきた。
オウンドメディアにはもうひとつ重要なことがある。
それは、コンバージョンを生み出すことだ。(ただしこれはライターの役割ではなく、運営側の役割である。)
コンバージョンを生み出すためには、オウンドメディアにおいてもっとも効果的な告知場所を把握しておかねばならない。
個人的には、今回のセミナーにおいてこの話に1番感動した。
と、ここで、わたしがいかにして今回のセミナー参加に至ったかについて紹介しよう。
セミナー開催の2週間前、なんとなくBooks&Apps内の記事を読んでいたときのこと。
記事を下までスクロールし、読み終えると、記事内のセミナーのお知らせがあった。
そこにはセミナータイトル・内容・日時・参加費・定員・申込ページへのリンクが書かれていた。
興味を持ったわたしは申込ページ(Peatix)へ飛び、参加の申し込みをした。
これがオウンドメディアにおいてもっとも効果的な告知場所だ。
"これ"とは、
「記事を下までスクロールし、読み終えると、記事内のセミナーのお知らせがあった。」
これだ。
実際の記事だとこうなる。(これは別セミナーの募集だが...)
ホワイトな勤務先・ホワイトな社会には、ホワイトな人間が求められる | Books&Apps
楢原さんいわく、ティネクト主催のイベントはほぼここでしか告知していないとのことである。
楢原さんは、トップページやメディア内の広告にはユーザーは来ないことを知っているのだ。
"全ての記事の下に"コンバージョンポイントを置くことがキモだ。
告知内容に関わらない記事だとしても告知する。
実際、ティネクト主催のセミナー申し込み状況はこのようになっているそうだ。
これにはかなり感動して、思わず「ハ~~~~ッッッ」と声が出た。
(楢原さんにも「そんなに感動してもらえるとは...」と引かれた)
こんなにも簡単で美しいコンバージョンの生み出し方があるのかと感動した。
何より、自分の何気ない行動の裏側にこんな導線があっただなんて...。
セミナーの存在の認知からセミナー終了後まで、どこをとっても完璧なUXだ。
美しい。
以上が今回のセミナーの内容および感想である。
セミナー内容すべてを紹介できたわけではないが、わたしにとっての新たな気づきや心躍った点についてはすべて書けたはずだ。
マンツーマンだったこともあり、随時疑問を感じたところはストレートにお聞きし、そこからディスカッションが生まれたりもした。
3時間の予定が30分オーバーしてしまったものの、あっという間の3時間半だった。
こんなにも楽しくてワクワクする時間になるとは思っていなかった。
24歳のわたしがこう言うと楢原さんに失礼かもしれないが、感覚の合う人と話すのはとても楽しいことだった。
そして、このセミナーに参加したおかげで、わたしはライティングにこだわりを持っているわけではなく、自分の表現したいことを表現するための手段としてライティングを用いているのだと気づいた。
表現方法はライティングだけでなく、動画などでもよいのだが、手軽さと心理的抵抗を考慮したときにわたしにとって最もフィットするのがライティングなのである。
わたしは文章を書くことを通じて、表現したいことを表現し、人々に伝えていきたい。
それによって世の中のハッピーが少しでも増えることを望んでいる。
【お知らせ】
最近Twitter始めました。
https://twitter.com/kiiinu2828
フォロワー増えるといいな...何卒...。